信州のレシピ 楽しい週末

サンショウしのばせ ●里芋のコロッケ、隼人ウリと柿のサラダ

飛田和緒 第44回(2006年11月18日紙面掲載)

 先月、松本市にある日本料理のお店へ出かけてきました。若いご夫婦がひと晩ひと組のみの予約でごはんを食べさせてくれるお店です。わたしは知人の紹介でこのお店を知り、お料理はもちろん、すてきなご夫婦のファンとなり、通うようになりました。

 ふたりは東京で暮らしていましたが、山が見え、温泉があるところで仕事をしたいと、家を引き払って、荷物を車に積んであてもなく、しばらく放浪の旅を続けていたそうです。そして松本へたどりついて生活がはじまったとうかがいました。

 実は、わたしの父も、生まれも育ちも東京の人ですが、四十歳を前に田舎で暮らしたいと、長野へ引っ越しをしました。友人や親せきがいるわけでもなく、山の景色だけをもとめて長野を選んだと聞いています。そんなこともあり、わたしにとってとても親しみのあるお店になったのです。

 その晩はキノコづくし。なかでもなかなかおうちでは食べられないマツタケ料理がすばらしかった。そのひとつマツタケのコロッケが、見た目も味もいままでになく新鮮でした。

 小ぶりのマツタケを縦半分に切り、間にジャガ芋をつぶしたものをはさんで衣をつけて揚げたもの。ジャガ芋の甘みとそのなかにほんのりと、でもしっかりと香りと味を主張するサンショウの実がしのばせてあり、これがマツタケとよくあって、夢中でほお張って食べました。マツタケをこんなにも大胆に使えるのは、お料理屋さんならでは。サンショウの味のきかせかたはとても参考になりました。

 外食をすることは、気分転換にもなり、プロの作る味を食べる幸せがありますが、いつもひとつかふたつ、スパイスのようにピリリッと小気味よく、うちでもやってみようというヒントをもらえることが多いですね。そんな料理はずっと忘れないものです。

 わたしはすぐに留守番をしてくれた家族に気に入ったサンショウの味を作ってみました。おうちで作るものですから、マツタケのコロッケとはいきませんが、掘りたての里芋をゆで、つぶしてコロッケの生地にし、サンショウの実をしのばせてみたのです。母が夏のあいだに庭のサンショウの実をせっせとしょうゆ漬けにしてくれたものがまろやかに漬かっていたので、それを使いました。

 付け合わせに隼人ウリのサラダを添えて。隼人ウリは実家の近所にある野菜の直売所で売っていたもので、生でサラダやあえ物にしたり、漬物にして食べる比較的新しいウリの種類です。

 旅のあいだに味わうもの、人との出会いはわたしの財産になっていきます。まだ知らない長野を時間をかけて訪ねてみたいと思います。

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【里芋のコロッケ】
◇材料
※4人分
里芋 大6個
長ネギ 1本
シイタケ 2枚
エリンギ 2本
サンショウの実のつくだ煮、またはしょうゆ漬 適宜
サラダ油 小さじ2
塩 少々
しょうゆ、砂糖 大さじ1―2
小麦粉、溶き卵、パン粉、揚げ油 適宜

◇作り方
(1)里芋は皮をむいてゆで、やわらかくなったら、フォークなどでよくつぶし、塩少々を合わせておきます。
(2)長ネギ、シイタケ、エリンギは粗みじん切りにし、サラダ油でよくいため、しんなりしたらしょうゆと砂糖で甘辛く味をつけておきます。
(3)(1)と(2)、サンショウの実を合わせて、一口大に丸めて、小麦粉、溶き卵、パン粉の順に衣をつけて、170度の揚げ油でこんがりと揚げます。

【隼人ウリと柿のサラダ】
◇材料
※4人分
隼人ウリ 大1個
柿 1個
塩、酢、またはレモン汁、コショウ、オリーブオイル 適宜

◇作り方
(1)隼人ウリは皮ごと8等分くらいのくし切りにし、中の種やわたをのぞいてから、薄切りにし、塩少々をまぶしておきます。
(2)柿は皮をむいて種をのぞいて隼人ウリと同じ大きさに薄切りにします。
(3)ウリがしんなりしたら、ペーパーなどで水気をとって、柿、酢、コショウ、オイルを合わせ、味をととのえます。